光。

それは、まさしく「光」そのものだと思った。

あまりにも眩しくて、この身では触れることさえ叶わない。

だからこそ。

光を闇に、沈めてみたいと思ったのだ。

自分と同じ場所まで、堕として。

その身が憎悪の感情に蝕まれたとき。

縋る手に伸ばされるのは、輝く明日ではなく。絶望の昨日であればいい。

そんなことをして、我が身が救われると信じていたわけではないが。

何かが変わるような気がした。

堕とされる光にとっては、きっと「迷惑」どころの話ではないだろう。

それでも、引き返そうとは思わなかった。たとえ、ただの自己満足であったとしても。

奪いたい。

もしかしたら、光を一番求めていたのは。自分だったのかもしれない。

色あせない遠い記憶の中、伸ばせば掴める距離のその手を。

取れなかった。救えなかった。

その過去を。

消し去るほどの。癒し、それさえも包み込むような。光を。

 

 

平和な町並み。民の笑顔。活気溢れる市。開かれた城門。

穏やかな日差しに、これほど似合う国もない。

それを壊すことに、躊躇いを感じなくなったのは。あの光を見た瞬間で間違いない。

もちろん、人間を憎む気持ち。許すことはできない感情。

それらは、遠い過去。

未熟な自分の力と共に、ずっと続いていたものではあったけれど。

それでもどこか。心の深い部分に、まだ信じたい気持ちが根付いていた事も事実で。

それらから開放された、あの瞬間。

自分の中に、止めどない残虐な気持ちが。まだこんなにも潜んでいたのかと、驚くほどだった。

そして、たった一人の人間に。執着する気持ちが生まれたことにも。

ほんの少し、そんな「人間らしい」感情が、まだ残っている自分に苦笑して。

次の瞬間、凍りついた表情のまま。闇の配下の者達を、野に解き放つ。

数刻後には、目の前にあの穏やかな国はどこにもなかった。

天さえも、それを嘆くように。日差しを隠し、冷たい雨を降らす。

赤と泥にまみれた。笑顔が消えた、嘆きの町を。

ゆっくりと見渡すように歩く。

光を、闇に堕とすために。

 

 

ゆっくりと光に近づこうとする、その前に。

幾人もの人間が立ちはだかる。

思った以上に、光はこの国にとって大切なものらしい。

こちらとしては、その方が都合がいいとも言えるが。

最後に立ちはだかった女の胸を、抜き去った剣で貫き。その身を赤で染める。

そのまま女の身体を剣から抜き放つと同時に、物を投げ捨てるかのように横へ振り払った。

邪魔な障害物がなくなったところで、やっと近くで。誰にも邪魔されず。

正面から光を捉える。

そこには力強い瞳が、逸らされることなく。自分を見つめ続けていた。

泣きそうな顔をして、恐怖に歪んだ顔をして。

それでも決して、目を逸らさない。逃げ出そうとはしない。

だからこそ、試したくなったのかもしれない。

可能性を、期待してしまったのかもしれない。

「憎め。そして追って来い、私を」

横をすり抜けて、耳元に囁く。

まるで呪いの様に。その身に刻みつけるように。

決して生涯、その心から消えることのないように。

自らを示す、名を。

 

 

愛する人々が、理由もなく無残に消えていった世界で。

一人、残された光が。

憎悪の感情に捕らわれた光が。

それでももし、闇に堕ちず。堕ちたとしてもなお、這い上がってきたとしたら。

その時は。きっと。

 

 

 

END

 

 

【反省文という名の補完】

「出会い」ヴィファーザさん&アディスくん編です。
なんというか、本編ではアディスくんの心情ばかり書いていたので外伝は基本、ファーさん(変な略し方

やめなさい)視点でいきます(しかも言い切った)

確実に、主人公サイドを書くつもりはないです。頭にないです(笑)
ちょっとファーさんが、アディスくんを好きでキモチワルイ感じに仕上がってしまい、ちょっとどうしようかと思案中・・・もー、書き直さないけどな!(笑)
この二人の「出会い」は実は本編の、しかもあたしの番の時に、さらっと書いちゃってたので。
違う「出会い」にしようかとも思ったんですが。

一応最初の外伝くらいは、主人公絡めとくか・・・みたいなね(それじゃあこれから出てこないみたいだよ・・・)
本編と、矛盾・・・はしていないと思いますが。

本編はかなり勢いで書いたので、リンクしてる事を書くと大変です。気をつけねば。

ではでは、お付き合いありがとうございましたー。